春の花、ブルーベリーが11月に咲くなんて
早まるなよぉ、まだ春じゃない

あっ、 カワイイお花ですねえ。季節のリースでも作るんですか?
違います!!
我が家で育てているブルーベリーが、季節外れの11月に花を咲かせちゃったんですよ。上の写真はそれを摘んできたもの。周囲を見るとほかにも花芽がでているし、つぼみも膨らんでいます。葉芽(はめ:成長すると葉になる芽)まで出てるじゃないですか。
これはヤバい! 来年の春がヤバい! 花が咲かず、実もならないんじゃないか!?
どうすりゃええんじゃ~泣
この記事を読むメリット
- なぜ秋に咲いてしまうのかが分かります
- 対処方法が分かります
- 系統別の特性が分かります
【結論】今すぐ対処だ!
急げ、まだ間に合う
「休眠打破」冬に眠り、春に目覚める
果樹や多年草は、冬は休眠して低温にさらされることで、春に芽が動きだす準備が整います。春に花を咲かせるには、冬の寒さにあてないといけないんですよ。
これが 休眠打破(きゅうみんだは)です。
寒さにあてる時間も決まっています。「低温要求時間」(チルアワー)といって、7.2℃以下の低温に何時間さらす必要があるか、という数値です。ブルーベリーは系統によってかなり違いますね。
| 系統 | 低温要求時間 |
|---|---|
| ノーザンハイブッシュ系 | 800~1,200時間 |
| ラビットアイ系 | 400〜600時間 |
| サザンハイブッシュ系 | 200〜400時間 |
この時間より短いと、春になったときに芽の動きが遅れたり、成長が鈍くなったりします。人間でいったら、寝不足の状態ですね。
なぜ、秋に花が咲いたのか
ずばり、原因は秋の高温。
春に咲くはずの花が秋に咲いてしまう「返り咲き」(狂い咲き)です。
本来なら冬に向けて休眠の準備を進めるはずなんだけど…。せっかくウトウト眠り始めたのに、暖かいから目が覚めちゃったよ! 静岡では10月前半の最高気温が22~31℃、後半にも25℃を超える日が続き、11月上旬の今日も22℃。
これじゃ、ちっとも眠れない
系統別の特性・秋の異常発生の頻度
各系統の特徴をまとめてみます。低温要求時間が短いサザンハイブッシュ系は、眠りが浅くて目覚めやすいので、秋の異常が起こりやすいですね。
| 系統・代表品種 | 推奨栽培地 | 低温要求時間 | 秋の返り咲き 頻度 | 秋の葉芽 頻度 | 代表品種 |
|---|---|---|---|---|---|
| ノーザンハイブッシュ系 | 冷涼地・寒冷地 | 800~1,200時間 | 低 (しっかり休眠する) | 低 (しっかり休眠する) | ・チャンドラー ・ブルークロップ ・スパルタン |
| ラビットアイ系 | 温暖地・暖地 | 400~600時間 ※品種により400~800 | 中~高 (休眠が浅めで、秋の暖かさで咲く可能性あり) | 低~中 (休眠が浅めで、秋の暖かさで目覚める可能性あり) | ・ティフブルー ・ブライトウェル ・ホームベル |
| サザンハイブッシュ系 | 温暖地・暖地 | 200〜400時間 ※品種により100~600 | 高 (休眠が浅い:150~300時間の極早生品種は特に咲きやすい) | 中~高 (休眠が浅く、目覚めやすい) | ・オニール ・サンシャインブルー ・ミスティ |
ちなみに、我が家で秋に咲いた系統をチェックしてみたら、
全系統だった!マジですか。
ノーザンハイブッシュ系は返り咲きが少ない系統ですが、それは「冷涼地で育てれば」。我が家は静岡なので夏は連日の猛暑です。木の特性とは関係なく発生するんですね。とはいえ、秋に花が咲くなんて今年(2025年)が初めてですよ。びっくり!
秋の段階での対処法
🌸【対処法】秋に咲いた花・花芽

必要な作業は?
| 作業 | メモ |
|---|---|
| 秋に咲いた花は摘み取る | 秋に咲く花は実にならず、木のエネルギーを無駄に消費する |
| 明らかに膨らんで動き出している花芽を取り除く | 指でつまんで取ったり、剪定ばさみで切る |
| 寒さで枯れた花を取り除く | そのままにすると病気の原因になる可能性あり |
作業のタイミングは?
発見したらすぐがベスト、木への影響を最小限に抑えられます。時間が取れない方は、冬の剪定のときにまとめてやってもOKです。
🌿【対処法】秋に出てきた葉芽

開き始めた葉芽は基本的に放置でOK。無理に取り除くと春の生育に影響が出る可能性があります。
記録を残しておこう
どの品種で秋の異常が起きたのかを記録してみてください。
返り咲きが起きやすい品種を把握しておけば、次のシーズンで剪定する量を見直すこともできるし、苗を買いに行って選ぶときにも役立ちます。スマホで動画を撮りながら自分で解説の音声も入れておくと、後から確認した時に状況が分かりやすいのでオススメ。
- どの枝にどれくらいの返り咲きや花芽の動きがあるか
- すべての枝で起きているのか、一部の枝だけなのか
- どの系統、どの品種で起きているか
春への影響は?
秋に花芽や葉芽が動いてしまうと、春にどんな影響があるのかまとめてみます。
| 系統 | 総合的な春への影響 |
|---|---|
| ノーザンハイブッシュ系 | 低 |
| ラビットアイ系 | 中 |
| サザンハイブッシュ系 | 中~高 |
🌸花芽への影響:春の花が減る
春に咲く花の数が減る
当然といえば当然なんですが…、秋に咲いてしまった花芽は、春には咲かないんですよ。秋に花がたくさん咲いてしまうと、春に咲く花は減ります。収穫量が10~30%程度減る可能性もあります。なんてこった…。
無駄なエネルギーを消耗する
本来は春に使うはずのエネルギーを秋に消費してしまうので、樹全体の体力が低下することがあります。ただ、健康な成木であれば、多少のエネルギー消費は翌春までに回復可能。
休眠打破の時間不足
秋に花芽が動き出すということは、休眠が十分にできていない証拠です。冬の間に必要な低温時間が満たされないと、これも影響が出ます。
- 春の芽吹きが1~2週間遅れる
- 開花が揃わなくなる
- 実が大きくなりにくい
🌿葉芽への影響:限定的
秋に動き始めた葉芽から出た若葉は、冬の寒さで枯れてしまうことがほとんどです。でも、芽自体がダメになるわけではありません。ブルーベリーの葉芽は再生力が高く、冬に再び休眠に入れば春に新芽が出てきます。葉芽は花芽よりも数が多いので、どの系統も影響は限定的です。
9月以降の肥料は控えめに。肥料が多いと、特にサザンハイブッシュ系は葉芽が出やすくなるそうです。
まとめ
秋にブルーベリーの花が咲いてしまっても、葉芽が出ても、春には何とかなることが分かりました。よかったよ~!
住んでいる地域に合った系統や品種を選ぶのも重要ですね。特に休眠打破に必要な時間は、苗を買う前にチェックしてみたほうが良いです。2025年は過去一の不作でした。2026年は普通に収穫させておくれ~。
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